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2006年8月 2日 (水)

服部有吉+首藤康之「HS06」 7月30日

服部有吉+首藤康之「HS06」 7月30日シアター・ドラマシティ

 服部有吉がソリストを務めてきたハンブルク・バレエ団のメンバーと首藤康之(「HOMO SCIENCE」のみの出演)とで振り付けた2つの作品。
 1つ目の「HOMO SCIENCE」は、プログラムによるとロボット生産工場の実験室で、ロボットが次々と検査を受けているという設定だったそうだ。幕が開くと、一人が前屈の姿勢で佇み、そこに天井から一人、また一人と下ろされてくる。いわゆる人形振りであることからロボットたちであることがわかるが、なかなか言葉で追いにくい作品だった。ロボットであるのに、徐々に柔らかく滑らかな「人間的」な動きに逸脱して行くところが、作品のテーマでもあり、ダンサーの見せ場でもあるという、シンプルながら力強い構成。首藤をはじめ、ダンサーの技量には何の心配もないだけに、迫力のある作品に仕上がった。特に首藤は、荒々しい大きさが前面に出ていたのが大きな魅力だった。

 休憩を挟んで2つ目の「ゴーシュ」は、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」をダンサーの世界に置き換え、鈍くさくて目立ちたがりで仲間から嫌われているダンサー(ゴーシュ=服部)が、動物たちとの出会いから多くを学び、立派なダンサーへと成長するというお話。
 ゴーシュは、指示通りの動きができないダンサー。自分でよけいな動きを入れてしまったり、揃えようと思うと隣のダンサーにぶつかったり。あげくの果てには、男性ダンサー(ヨハン・ステグリ)にぶつかって、彼の膝を痛めてしまう。謝ってももう目も合わせてくれない。
 その夜、一人でおさらいをするゴーシュ。このシーンの服部の動きが素晴らしい。服部の動きは、いい意味でケレン味や色気があるというか、一つ一つの動きに独自の味わいを加えているようなところがある。ジャンプ一つとっても、空中の姿勢のヴァリエーションが豊かで、見ていて油断ならない。個々のヴァリエーションによって、観る者のは「ワッ」「ワッ」とばかりに感情が堆積し、やがて臨海点に達すると大きな感動のうねりとなる。そういう種類のダンサーである。
 猫役のエレン・ブシェーは、昨年ハンブルク・バレエ団のプリンシパルに昇格。優雅で目を見張るようなたおやかな動きと豊かな表情。猫と踊ることで、ゴーシュはペアとしての身の処し方のようなものを覚えていくようである。鳥役はヨハン・ステグリ。大胆なテクニックと強気な押しでも覚えただろうか。タヌキはゲイレン・ジョンストン(女性。'00ハンブルク・バレエ団入団)。ぼってりしたお腹のかぶり物をつけて、フォッシーを彷彿とさせるジャズやチャールストン。ここでは当然楽しいダンス、エンターテインメントとしての動きを覚えたことだろう。面白いのが最後のネズミ(大石裕香。'02ハンブルク・バレエ団入団)。弱気で遠慮がちでおどおどしていて、遠慮がちにしかし客席から登場するのだが、動きは非常にシャープ。小柄な日本人ダンサーが海外で勝負するには、こういう速度を身につけておく必要があるのだろうと思われる動きである。弱気なネズミと踊るゴーシュが、最後はネズミを励まし勇気づける。そういう心を身につけたということだろう。
 そしてゴーシュはバレエ団に戻って、素晴らしいダンスが展開されるわけだが、欲を言えばここで前半とのコントラストがもう少し明確になっていればよかったのではないか。前半が既に魅力的すぎたと言うべきか。
 服部はハンブルク・バレエ団を今シーズンで退団し、カナダのアルバータに移るらしい。作品づくり(振付)にも積極的で、受賞やオファーもあるようだ。これから広いフィールドでの活躍が期待できると思うが、彼自身が踊ることの魅力を観客に味あわせることを、いつまでも大切にしてほしい。
 

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