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2007年7月23日 (月)

漢魂「キャミソール刑事」

6月1日ロクソドンタ・ブラック

 一度見たら二度と見たくなくなるようなインパクトの強いチラシ、キャミソールを着てきた男性は割引、などとあざとい仕掛けに満ちた公演で、おまけに当日プログラムには代表の某の緊急入院によって、内容が当初予定していたものとはずいぶん変わってしまったとのお詫びが記されていた。そのため、コント集になってしまうとか、未完成なものになってしまうのかと危惧されたが、とりあえずはコメディとして一定のまとまりは示せていたと言えるだろう。
 ドラッグストアで制汗スプレー「8×4」だけを狙った強盗が出没、しかもその強盗は警察のマークをつけたキャミソール姿の男だという。捜査に向かう刑事たちは、証拠品のキャミソールを自分のポケットに突っ込んでいたり、プロファイリングと称してインターネットで犯人の検索をしようとしたり「ムー」を愛読していたりする山田将之をはじめ、ふざけているとしか思えないような面々である。
 一方の犯人側も、やたらと銃を使いたがる子分(加納雅也)、カレーしか食べず、くだらない語呂合わせで次の襲撃先を決める親分(森島達也)と、おふざけ加減では負けていない。
 こんな両者の捕物劇だから、まともに展開するわけもなく、途中で犯人を追っていた刑事のヤマさん(大木花男)が、親分を追い詰める。自首するという親分に「早まるな」とその心意気を気に入って刑事として採用するというくだりなど、失笑したくなるほどの展開。
 さて、失笑という言葉を使ったが、彼らの、少なくとも今回の舞台に関しては、失笑を買うような部分こそが大きな魅力になっている。新喜劇的な笑いではなく、ナンセンス・ギャグの笑いと言っていいのかも知れない。ボケが中心というのは新喜劇ではそうだし、多くの漫才でもそういう例はあると思うが、ボケることによって好感度を増し愛される存在になっていくというのではなく、ヒーローを作らないことにこだわっていて、脱力するようなジョークによって展開するだけという中心不在の志向であるように思う。
 また、この劇には異物感のある存在が二つあって、奇妙な味わいを出していた。一つは爬虫類のような宇宙人(または骸骨)。これは実に全くわからない。ヤマさんと山田に囲まれた加納がピストルを連射すると山田がカンフーよろしくネギ(張り込み用にカレーの材料を買ってきていた、というわけで)を振り回して弾をよけていると(ここの山田の動き、シャープで素晴らしかった)、いきなりその宇宙人が飛び込んできて釣り銭を渡し、身代わりのようにして撃たれてしまう。かと思うといつの間にかまた生き返っていて(?)自然にゲームに入って勝って帰っていく。そういう存在である。超常現象を好きな山田が生み出した幻視のようなものともいえず、非常に理解しにくい。おそらく、何の脈絡もなく奇妙な存在を出したかったのだろう。
 もう一つの異物は、背広姿で登場する刑事、谷村欣也である。同じ刑事でありながら、ヤマさんと山田の話の輪に入れず、意味なく疎外され続けている。時折「仲間に入れてください!」と叫ぶが、軽く無視される。疎外される理由は劇の中で何も説明されない。谷村が主人公であれば、不条理劇にでもなりそうな無理由である。
 劇のラストは、骸骨(宇宙人)と加納が何事か話したあと、実はこの登場人物全員に嫌疑がかかっていて、観客の拍手が一番大きいのが犯人だということになる。ぼくが観た回は、サクラのせいかヤマさん(大木)になったのだが、顔にパンストをかぶせて風船を入れ、膨らませて破裂させるという罰ゲーム。途中の大喜利風なアドリブといい、ゆるく締まりのない終わり方が、またこの劇の終わりらしくて、軽く納得させられた。
 音楽やダンスをふんだんに使って、結構レベルが高く、自分たちのやりたいことをやりたいふうに突き詰めて行っている男たちであるように思えて、なんとなく好感が持てた。劇団名の漢魂からメンのソウル、メンソール、キャミソールというのも、ベタで頭を抱えたくなる。

http://mensoul.onushi.com/top.html

Lovely☆フェミニンSweet レース キャミソール 

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