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2007年9月21日 (金)

リズ・ラーマン「Radical Prayer」3/11(明倫art掲載)

リズ・ラーマン ダンス・エクスチェンジ ワークショップ参加者による成果発表パフォーマンス「Radical Prayer」 2007年3月11日 京都芸術センター講堂

 リズ・ラーマンというアメリカのダンサーが、お年寄りなど「普通」の人たちと共に踊るようになったのは、母の死をきっかけに、母と同世代の人と体験をシェアしたいという願いからだったという。つまり、彼女がダンスの経験などない人たちとダンスを共有しようという根底には、失われたいとおしい存在と交感したいという思いがある。それが彼女のワークショップを、他と別して濃密なものにしていると思われた。
 今回、彼女らは本番までの12日間京都に滞在した。50代から70代のシニア・ダンサーと20代から30代のヤング・ダンサーを37名集め、「祈り」をテーマに、千人針をシンボルイメージとして成果発表を行った。
 動きには、礼や儀式を思わせるものもあった。たとえば、石と本が並べられ、それぞれ一ヶ所に集められていく印象的な場面では、左右から出てきた2人が互いに一礼し、それらを手にして振ったり読んだりし、また対になった2人が馬乗りになったり四つんばいに組み合わさったりと、思い思いにコンタクトしていく。言葉や人為を表わす本と、沈黙や自然を表わす石が、そのありようを交換する可能性を示す、美しいシーンだ。決してスピーディでスムーズではないシニア・ダンサーたちの動きが、時の重みを感じさせたり、失われたものに寄り添ったりするようであったことが、ヤング・ダンサーたちの動きにもある種の陰影を与え、舞台の空気を静かで穏やかなものにした。そういう深みと静けさを要する動きであれば、歳月の中でシニア・ダンサーの身体のほうが、こなれていたといえるだろう。もちろん、激しい動きを必要とするシーンでは、ヤング・ダンサー(ダンス経験者が多いようだった)の身体がシャープに本領を発揮した。
 このパフォーマンスが貴重だったのは、異なる世代、国、民族のダンサーが共に作品を創るにあたって、「祈り」や千人針を通じて劇的に求心力が高まり、それが観る者にも「祈り」の昂揚として伝わってきたということだ。一人ひとりのダンサー、一つひとつのシーンがとても大切にされていたし、ダンサーたちは個々の動きや場面をとても大切にしていた。リズにとって、ダンスが大切な人をも含めた他者とのコミュニティを作るための、いとおしくも貴重な媒体であることが、染みわたっているものと思われた。ワークショップというもののあり方、必要性について、痛切に考えさせられた。

■『国民歌謡ラジオ歌謡大全集』

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