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2009年1月18日 (日)

【既発表】contact Gonzo「牧歌的崇高論」、館勝生ライブペインティング

(「明倫art」2008年11月掲載)

散乱しているものやことの飛沫

contact Gonzo「牧歌的崇高論、その実践」9月6日、OBP円形ホール(大阪市)
館勝生展 ライブペインティング 9月15日、甲南大学ギャルリー・パンセ(神戸市)

 contact Gonzoに出演依頼をしようと、垣尾優に連絡した時だったか、前の公演から日を置かないと難しいといわれ、驚いたことがある。なぜなら、肋骨や歯が折れたりすることがあるので…と! なるほど、本気なのだ。Youtubeで見て、街頭でいきなり殴り合いを始めるものなど、かなりヤバイなと思ってはいた。パフォーマンスの歴史の中では、住居不法侵入や贋札事件、猥褻物陳列など、さまざまに社会規範に抵触するものがあったが、これは場合によっては傷害罪になるだろうし、会場に救急車が呼ばれたらすごいよな…とか考えてしまう。
 そのセンセーショナルなコンセプトに反して、今回の公演で不思議に思ったのは、その殴り合いが、散在する様々な物や人や出来事の中で、必ずしも主要な役割を与えられていないように思われたことだ。序盤は、ゆるい安楽な時間が流れていた。ミシンとカラフルな端布に囲まれた男、手をつないで楽しげに散歩している女たち、材木を切断して会場の奥から木橋を渡そうとしている男、ライトを調整している女…が風景のように無機的な会場にまばらに置かれている。他の男たちはボールを蹴ったりペットボトルを投げたりしている。そして時々殴り合う。
 もちろん、殴り合いを期待して来たぼくたちは、それで納得する。では、無責任な観客にとって、殴り合いとそれと等価であるように散乱させられた多くの出来事や物事は、どのように関係づけうるものだったか。安楽な雰囲気で始まった空間には、取っ組み合いが始まれば、緊張が走る。ぼくたちは、ゆるい気分の中に緊張が走れば、地と図の関係のように、緊張する部分のほうが主題であると思うが、どうもそうとばかりは位置づけられていない。彼らが評価されてきた殴り合いという行為を強調せずにおくことで、刺激的な情報としての殴り合いを見に来た観客にパンチを放ち、立ち位置を危うくすることになることになる。

 パフォーマンスの凄まじさということなら、画家・館勝生のライブペインティングがすごかった。立っていることも難しい闘病中の館がキャンバスと格闘する姿は、絵画が生の痕跡であることを明確に示していた。拳につけた絵具を叩きつける様は、これまた殴り合いのようでもあった。恒星の破裂のような飛沫、マントルが地上に現れたような生々しい絵具の塊について、制作のプロセスがわかったということよりも、全存在が画家である以上、このようにしか在ることができないのだなと、やはり激しく打たれた。

※ 館勝生氏は、2009年1月16日午後2時53分、癌のため永眠されました。享年46歳。謹んでご冥福を祈るのですが、もう彼の新作、新しい世界を見ることができないというのは、あまりにもつらく、残念です。
 館氏のサイト http://www.threeweb.ad.jp/~tachi/TOPPAGE.HTM
 甲南大学でのライブペインティングの詳細 三井知行氏(大阪市立近代美術館建設準備室)のレポート http://www.peeler.jp/review/0811hyogo/index.html 

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