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2009年3月22日 (日)

上品芸術演劇団「あたしと名乗るこの私」---うーちゃんとくまさんのお芝居談義

■上品芸術演劇団「あたしと名乗るこの私」

う 対照的に会話劇みたいで素敵だったのもあって、上品芸術演劇団の「あたしと名乗るこの私」(作・演出=鈴江俊郎。2月22日、精華小劇場、大阪)。事務所の名古屋移転を控えていろんな意味で転機を迎えているOLたち、経営している工場が破綻した男と年の離れた若い妻、大学を辞めようとしていて憧れの事務職員の女性を連れ出すことに成功した学生、というホテルの最上階のレストランに集まる人たち3組、そして管理能力のない店長以下お店の人たちを登場させるんだけど、途中で向こうのビルの屋上で身投げをしようとする人を見つけて、そのことを気にかけながらも淡々と日常的な会話を続ける人たちを描いている作品。

く なんかちょっとこわいね。普通の人の日常にひそむ悪意とか?

う そこまで明確にはされていないし、それがあったとしても、ものすごく遠くの景色になってるのが、すごいと思ったんだ。

く これも四面客席だったそうだね。

う 精華小劇場初らしいよ。四方をお客さんが囲んで、レストランの店内となった舞台のテーブルに、それぞれ三組が座るんだけど、一場面で登場するのは一組だけ。一組の会話の場面が終わると、暗転ではなくてレストランの店員たちがテーブルを片付けたり卓上のキャンドルを交換したりして、一組が退場して、別の一組が登場する。

く 場面と場面はつながってるの?

う 時間的には、同時進行しているものをバラバラに見せてるの。

く どうしていちいち役者をはけさせて、そのテーブルの人だけ残すようにしたんだろう?

う うーん、わからないけど、レストランって、テーブル同士のコミュニケーションなんてないじゃない。だから、他の人と同時にいる必要はないよね。見えやすさとか、演出上の合理性とか、いろいろあったんじゃないかな。

く その出はけに要する時間とか展開っていうのは、いったい何だったわけ? 暗転じゃないわけだよね。

う うん。向こうのビルの屋上の男について話していることから言って、時間の流れはほとんどなくて、同じ時間に並行して流れて行ってることをばらして見せているわけね。ということは、時間を巻き戻して、視点を移動させる時間になってるわけ。その間にお店の人がテーブルを整えたりする。タイムマシンが作動しているような時間ね。でも、本当はその間にテーブルセットするわけじゃあないよね。お客さんにとっては、一息つく時間だったり、思い返してしみじみする時間で、目的はわからないけど、結果としてはゆるく穏やかな時間の流れとか、繰り返しの多い単調な日常、ということを強調できたと思うよ。

く 向こうのビルの自殺しようとしている男はどうなったの?

う 本当は自殺しようとしているのかどうかも、わからないんだ。でも、気になるね、そうだね、…で終わり。全然ふれられないまま。

く そのことが、登場人物たちの会話に影を落したりするの?

う ほとんどなくて、唯一そうかなと思わせられたのは、倒産する社長(鈴江)が「トイレ」と言って席を立って、しばらく戻ってこないところで、このまま屋上へでも行って、身投げするなんてことはあるのかな、と思ったんだけど、何もなかったように戻ってきます。この夫婦の会話はとても面白くてね、夫が45歳だとしたら、奥さんは女子大出たての24歳、って感じ、あまりにも世間知らずで現実離れしたお嬢さんなの。すごく仲がよくて、ラブラブなんだけど、ものすごく大きな溝がある、っていうのが恐ろしくて、面白かった。

く 他のグループにも溝や行き違いがあるの?

う たとえば学生と大学職員でわけわからないのは、大学職員の女性が一言もしゃべらないこと。

く 全然?

う 全然。ぼくの席からは、彼女の表情が見えなかったから、顔で演技してたのかどうかさえ全然わからなかったんだ。男だけ一方的にしゃべってた。そのせいか、学生はどんどんしゃべらされてしまうわけ。演劇はもちろん会話で成立しているものが圧倒的に多いわけだけど、会話しているペアやグループだけを残して、後ははけさせたり、一方は黙っているペアを出したり、かなり意識的な組合せパターンだったんだろうね。高度な実験が潜んでいる、っていう感じかな。

上品芸術演劇団=http://www.milmil.cc/user/jouhin/

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