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2015年2月 3日 (火)

朴華蓮・谷口文敏ジョイントコンサート■ 県美プレミアム「阪神・淡路大震災から20年」

1月18日

1.17レクイエム 朴華蓮・谷口文敏ジョイントコンサート 

兵庫県立美術館ギャラリー棟アトリエ

曲目:武満徹「小さな空」、團伊玖磨「花の街」、様ざまな作曲家の「Ave Maria」、リベラ「生命の奇跡」 ほか

出演:朴華蓮(ソプラノ)、谷口文敏(テノール)、佐田めぐみ(ピアノ)

 美術館のアトリエで行われた若いアーティストをベテラン伴奏家が支える形でのコンサート。「祈り」と「故郷」をテーマに、大方は多くの人が知っている曲、そうでなくとも耳なじみのいい曲が選ばれて、1時間強。若い2人は少し緊張感を漂わせ、張りと艶のある強い声で、真摯で誠実な人柄がにじみ出るような素敵なコンサートだった。

 「Ave Maria」をカッチーニ、シューベルト、グノー、マスカーニ(「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲に詩をつけたものと続けて聴けたのが、とても面白く、祈りの時期にふさわしい空気が流れた。

 ピアノの佐田が一部と二部をつなぐところで弾いたショパンの「バラード第1番」が聴きごたえがあり、声楽の美しさだけにとどまらなかったのが、すばらしい。

 二部では最初に江間章子作詞・團伊玖磨作曲の「花の街」。第二次大戦後の神戸が再び明るく美しい花いっぱいの街になることを願って作られた歌だと紹介されていた。初耳だったが、『日本抒情歌全集1』(1986、ドレミ楽譜)の解説に「昭和22年の東京は空襲の残骸と戦後の混乱で、瓦礫と闇市に埃が濛々としていた。江間章子はNHK「婦人の時間」の委嘱で“今に東京にも花咲く街になってほしい”という、夢と希望を託して、この詞を書き上げた。“荒れ果てた当時の日本を見ていた私は、私の心に抱いていた幻の理想の街、神戸を頭に思い浮かべて書いた。神戸へは行ったことはなかったが、乙女心に神戸というエキゾチックな街に憧れていたのですよ”と述懐している。」とあるらしい。やや微妙だがそういうことだそうだ。諸説流布しているが、江間が神戸で取材したとか、江間の郷里だという説は、間違いのようだ。久しぶりに聴いたが、実にいい歌だと思った。

 続いて、なかにしあかね が星野富広の詩に曲をつけた「今日も一つ」「小さな空」、これもなかなかいい曲で、こういうコンサートには、知らなかった佳曲を発見する楽しみがある。

県美プレミアム「阪神・淡路大震災から20年」

 以下の三部構成からなる、コレクションを中心とした「県美プレミアム」。

第1部 自然、その脅威と美

第2部 今、振りかえる-1.17から

第3部 10年、20年、そしてそれから-米田知子

 第1部の圧巻は、川端龍子の「逆説・生々流転」(1959、大田区立龍子記念館蔵)。8分割で、合わせると28mにも及ぶ淡彩墨画。横山大観の「生々流転」のいわばアンサーとして描かれたというが、大観にはない痛切さがあるのは、前年伊豆半島を襲った狩野川台風の爪痕に想を得て描いた作品だからだろう。のどかな南洋での台風の生成、荒れ狂う風雨、大きな被害、台風一過、復旧工事、そして虹、という一連なりがスピード感あふれる筆致で一気に描かれており、こちらまで思わず早足になってしまい、後でまたゆっくり見直す、ということになった。絵画の水平性と時間性が一致した、素晴らしい作品だ。

 他にも、黒田清輝の「桜島爆発図」連作、池田遙邨「関東大震災横浜万里橋附近大亀裂」、古沢岩美「三原山噴火」など、天災を描いた生々しい絵画が多く展示されていた。

異色だったのが、館蔵品なので前にも見ていたが大岩オスカールの「雷雨」(2002)。大雨に飲み込まれる街を、遠近法や事物の大小を無視して微細に描いた大作(226cm×441cm)。いつ見ても、くらくらするようなスケール感で、人の営みの小ささを思い知らされる。

 第2部は、阪神・淡路大震災の直後から10年目までの震災関連の動きを回顧した、記録的な展示。「そのとき、美術館では 1995-2005」「中山写真スタジオの「文化財レスキュー」」「記憶を伝える-保存・修復と教育・普及」の三部から成り、震災時の被災状況、公立美術館としての役割、震災記念特別展の振り返り、大災害時に美術がどのような役割を果たしたか、被災した作品への対応がコンパクトにまとめられていた。

Hanshin20


 第3部は、明石出身でロンドン在住の写真作家・米田知子が2005年前後の芦屋で写した写真作品を展示。静かな空き地や何の変哲もない公園だが、キャプションを読むと「遺体仮安置所をへて、震災資料室として使われていた」教室であったり、「市内最大の被害を受けた地域」だった空き地であったりということがわかる。写真には写らない(?)何かが、キャプションの言葉によって呼び起こされ、見る者のまなざしが変わってしまう。その変化は主に喪失感であり、今は「もうない」ことが写っていないのに見えてしまう恐ろしさであったりする。写真というものの凄みを感じさせてくれる作品だ。

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