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2015年5月 9日 (土)

WI’RE 「XVI 塔」

3月8日

構成・演出:サカイヒロト
音楽:石上和也、出演:黒子沙菜恵、ののあざみ

CLUB Q2(神戸市中央区・ポートターミナル)

 サカイヒロト主宰WI’REの連続プロジェクト公演。過去の「迷図」「ヒトガタ」をいくつか見ていて、ナラティブだったり、パフォーマティブだったり、しかし深刻なストーリーを踏まえた濃密な世界像を構築する力に惹かれている。

 会場は神戸新港第四突堤の上屋Q2号と呼ばれる施設。今回は「CLUB Q2全体を不安定な建造物としての【塔】のインスタレーションとして設計し、出演者と観客が自由に鑑賞・干渉できるようにします。繰り返される【塔】の破壊と再構成の記録の中から、架空の記憶が蜃気楼のようにたちあがるのではないか…そんな風に考えています」としており、またタロット・カードの「塔」をモチーフにしていたとのこと。ちなみに、タロットカードの「塔」は、「正位置・逆位置のいずれにおいてもネガティブな意味合いを持つ唯一のカードである」そうだ(Wikipedia)。もちろん「バベルの塔」、教会の尖塔から「神の家」の意味もあるといわれている。「XVI」=16は、タロットのカード番号。

 フェリー乗り場の待合室だったのだろうか、天井の低い広い会場に、木で細い橋が渡されており、スピーカーが20台以上設置された、アクースマティックな空間になっている。目隠しをしたののあざみが木橋の上を探り足で歩み、不安定さが空間を包む。黒子で印象的だったのは、床にブロックレンガのようなものが積まれているのを伝って歩いていく危うさで、ののも黒子も、歩むことに危うさが強制されているようだ。仕掛け自体はごく単純といってもよいが、その結果としての緊迫感が作品全体を凝集して、求心力を増している。特に黒子の動きは、オフバランスの見本のような鮮やかな重心の展開が見事で、サカイの世界を言語的にでなく表出するのに、非常に相応しい身体であると思った。

 塔というものから導かれるイメージの中で、崩壊、倒壊に向かうという負のイメージが強調されていることによって、この公演の空気が支配されている。

 また、断片的な表われを持ちながら、容易に結びつけることができるように語られる子供の頃の事件、トランシーバーを使ったディスコミュニケーションなど、多くの事象がある種の崩壊感覚、崩壊後の世界の感触に直結しているようで、やりきれない思いに囚われる。

 音楽、美術の尖鋭性もあいまって、演劇ともまた異なり、抽象度が高く、物語自体は曖昧な部分を残しながらも、豊かなイメージ醸成によって観る者の想像力を激しくかき立てることで、WI’REならではの世界を作り上げることができていたように思う。

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