« 火曜日のゲキジョウ/トランスパンダ「ケミカル・ブラザーズ」 | トップページ | 京都国際現代芸術祭2015 PARASOPHIA »

2015年7月14日 (火)

第20回京都国際ダンスワークショップフェスティバル記念ガラパフォーマンス 「Passing through」

4月30日

『奥のほう』 百田彩乃
『抱きしめあうと眠りづらい』服部哲郎+杉山絵理
『オランモス』 日置あつし
『SARU』 トム・ヴェクスレール+皆川まゆむ
『And yet, now #4』フランチェスコ・スカベッタ
『報復』 チョン・ヨンドゥ
『improvisation: point line face』アビゲイル・イェーガー
京都芸術センター(京都市中京区)
Stage_reverse50452_1


 「暑い夏」と通称されるワークショップフェスを通過して現在活躍中の若手ダンサーと、本年度のワークショップ講師によるガラ・パフォーマンス。
 『抱きしめあうと眠りづらい』『SARU』と、男女のデュエットの作品が2点あると、どうしてもある共通性が生まれ、対比させられることになる。前者は2つの椅子を使って、互いにさぐり合うまたはさがし合っているような密着度の高いコンタクトを重ねていく、密度の高いストレートな作品なのだが、なぜか一つひとつの動きが受身的に振付けられたもの、タスクとしての動きであるように思われた。それがタイトルにあるようなある種の居心地の悪さ~眠りづらさ~を表わすものとして意図されたのならすごいのだが、今ひとつしっくり、しっとりしない。
 後者は、女が目隠し、男は鼻から下を布で隠した状態から始まることで、強い違和感を与える。じゃんけんをしたり、殴ったり、目隠しのせいで手探りで進んだり、すごいリフトを見せたりと、個々の動きのコンセプト、スピード両方の意味での鋭さ、コミュニケーションなのか反コミュニケーションなのか判断し難いコンタクト、等々鬼気迫るようで鮮やかだ。
 この2作品を比べたときに、なぜ前者にタスクを感じ、後者に感じなかったのか、よくわからない。前者には男女の身長差があったために、保護する/されるような関係が見え、後者は男女が対等に見えたからだろうか。前者のほうがややセンシュアルなコンタクトが多かったからだろうか。確かなのは、前者には、動きがいったん言語化されているような間接性を感じたことだ。これは少し考察を重ねていかなければならないように思う。
 百田はただ顫え、痙攣していただけのようだったが、やりきってしまうことの凄みは感じられた。
 日置は、狩衣のようなざっくりした衣裳で、舞楽を思わせるようなゆっくりした儀式的な動き。視線を固定して腕を開き、クイッと返してかかとからすっと足を運ぶ箇所など、流れるようで美しい。想定はしていないだろうが、この種の動きには何か物語か情緒のようなものがまつわりつく。それをうまく入れ込んで作品化するか、方法はわからないが削ぎ落とすかしたほうが、効果的ではないかと思うが、入れ込んでしまうと妙なモダンダンスのようになってしまうかもしれない。
 スカベッタは、カセットテープレコーダーを使った面白い構成。テレコを滑らせ、その近くまでにじり寄ったりダイブしたり、あるいは他者にバランスを崩されているような不思議な動きをとったりする。仕掛けの働きがユーモラスかつクールで、それと戯れるような動きが鮮やかで、非常にしゃれた作品だった。
 イェーガーは短いソロだが、動きの輪郭がはっきりと美しく、右手の遠心に導かれていくような素直でストレートであることにひかれた。
 チョンは、空間に対して身体のどの部分がどのように力を加えていくのかがはっきりとわかり、存在することの強さが実感できる、空間の中での位置の占め方の見本のような作品を見せてくれた。身体の様々な部分に意識を集中させることで、自在に神経をコントロールしている様が目に見えて、非常にスリリングだった。
 一方で、身体のシステマティックな動かし方もユーモラスに見せてくれた。身体を切り刻んで食べてしまうような振りも、具体的でいささかグロテスクでありながら、深いところで世界観、存在観に直結している。身体と存在という根源的なテーマを改めて考えさせられたようで、意義深かったといえよう。

■4月は他に、小清水漸個展「階の庭」(ギャラリーヤマキ・ファインアート、神戸・元町)、東學+月夜乃散歩「少女の化石」(SUNABAギャラリー、大阪・日本橋)、三輪正美展(ギャラリー開、神戸・栄町)、第8回「断片-16」(ギャラリーSHIMA、西宮)など

|

« 火曜日のゲキジョウ/トランスパンダ「ケミカル・ブラザーズ」 | トップページ | 京都国際現代芸術祭2015 PARASOPHIA »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 第20回京都国際ダンスワークショップフェスティバル記念ガラパフォーマンス 「Passing through」:

« 火曜日のゲキジョウ/トランスパンダ「ケミカル・ブラザーズ」 | トップページ | 京都国際現代芸術祭2015 PARASOPHIA »