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2015年7月14日 (火)

火曜日のゲキジョウ/トランスパンダ「ケミカル・ブラザーズ」

Micro To Macro「クレイジー オレンジ フォー ユー」
作・演出:石井テル子
出演:小谷地希、石井テル子、田米カツヒロ、
西村恒彦(劇団自由派DNA)、田村晃司(violin)
トランスパンダ「ケミカル・ブラザーズ」
作・演出:ナカタアカネ
出演:上田耽美(耽美社)、奈須崇、ヤマサキエリカ、横田江美(A級MissingLink)、大竹野春生(第一次反抗期)、谷屋俊輔(ステージタイガー)
インディペンデントシアター1st(大阪市中央区)
 ナカタ曰く「「ケミカル・ブラザーズ」の物語は、丹波市氷上町→梅田→メンズ阪急→人並みに押されながら谷町線に乗る→天神橋筋六丁目駅の阪急オアシスらへんからマクドがあるアーケード。というトラパン史上初の関西な世界でした。」というわけで、ロードムービー的に移動して行く心地よさという味わいがありつつ、夫婦のふんわりしたやり取りに戻っていく幸せな物語だ。
 作品の読み込みについては、作者がブログ で懇切丁寧に解説してくれているから、あまり付け足す必要はないのだけれど、冒頭で主人公が交通事故に遭ったところで死んじゃってて、後は死にきれない男の幽体状態での出来事かなと思っていた。
 なお、この作品は、「30GP」というトーナメント形式のイベント公演(?)で再演された(6月27日の準決勝を観劇)が、その時は横田江美に代わってなかた茜、谷屋俊輔に代わって濱本直樹という配役となった。ウケを狙った芝居ではないので、トーナメントの人気投票ということになってしまうと最後まで残りはしなかったが、噛み締め甲斐のあるいい芝居だったと思う。小劇場系の芝居を2度見るということはあまりないので、役替りの面白みも含め、反芻できてよかった。
 ケミカルウォッシュ のジーンズというものを偏愛する主人公(上田耽美)。その偏愛の理由には、裏返しの母への思慕があった。……そんな解説を加えるのもちょっと野暮で場違いな感のある、ぬるポップな展開で、劇の筋より役者のTシャツに目が行ったり、奇妙な喋り方が気になったりする、表層的な滑りがスピーディで快適だ。物語としては、母親が不倫・失踪したり、浜田省吾を歌う男(奈須崇)の彼女が二股だったり、男女の関係の面倒な状況がいろいろと仕込まれている。しかしそれらが重みや湿度を持たず、たとえば二人の店員がよく似ているなぁというような印象と同じ軽さで流れていくのが心地よい。
 こういう心地よさは、作者の手つきや思い入れのようなものから滲み出てくるものだと思うのだが、手つきが見えることで心地よくなることと、作為性のように思えて鬱陶しくなることがある。最終的には好みとしか言いようがないのかもしれないが、いったん自分が作り上げた世界をクールに客観視しているかどうかというあたりがポイントなのではないかと思っている。もちろん、没入型の作風の作者もいるわけで、どちらがどうというわけではないが、ナカタについてはこのクールネスが小気味よい。
 Micro to Macroは初見で、何の予備知識もなかったが、楽器の生演奏とちょっといい話を組み合わせたような作り方だった。

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