« 「南画に描かれた四時の楽しみ」 | トップページ | 匿名劇壇「悪い癖」 »

2015年8月11日 (火)

Malus pumila企画「confeito」

2015.5.23.

近畿大学舞台芸術専攻 新入生歓迎舞踊公演

 出演:大野真里奈、衛藤桃子、河本彩希、玉田かおり
  貫井貴美香、福嶋理奈、的場風佳、山本真衣
 振付・演出:余根田三奈

近畿大学D館3階ホール

Cefouh2ueaedoud

 コンペイトウをモチーフにしたのは、うまいと思った。甘くてかわいくて、いろんな色があって、ちょっとずつ形が違っていて、イガイガしている。逆に、そんなニュアンスをどこまで持たせられるのか、楽しみな公演となる。作者が一人の長編、出演者は女子だけという、近畿大学ではちょっと珍しい公演だ。

 ぼくが観たのは3回目の公演だったが、始まってしばらく、ダンサーの顔の表情が中途半端で、舞台の上で居 心地悪そうにしているように思えた。それは板についていないというより、20歳前後の女子の、世界での居心地の悪さを体現していたのかもしれない。

 なんとなく中心的存在かなと思われたのが河本彩希だが、コンペイトウの入った瓶を頭に乗せ、中央に立って手に取って瓶を振って音をさせ、開ける。周りを7人に丸く囲まれていて、一粒つまんで高く上げ、食べると、いい表情で笑う。ニヤリともニコリとも違う、大げさに言えば禁断の果実、普通にいえばつまみ食い…ならではの美味を味わってしまったような、裏のある微笑み。顔が小さく腕が長く、上手さを上手さとして感じさせない、無垢な魅力をよく生かしている。

 7人が倒れると、続いて糸電話を使って口々に愚痴や文句を大声で喋り始めるのだが、ここまでのちょっと澄ましたガーリーな雰囲気から一転して、発せられる言葉を品なく感じてしまう。微妙なトーンのことなので、人によって感じようも違うとは思うのだが、その落差は作品の統一感を悪く崩すもののように思えた。大阪弁だからというのではない。声にフィルターがかかっておらず、生々しさが露わだったとでも言おうか。ダンスする身体であった者と一人称で発語する者を連続的に同定することができず、それが意図された不調和であったようには思えなかったということだ。声、言葉を使う必要があったのかどうか、わからない。

Confeito

 続いては、宙に指で文字を書くシーンに続き、大野真里奈が鋭く走りこんで格闘し始め、またすぐに型から大きく動く滑らかなソロに移る。小さな身体がダイナミックで、鋭角のドラマを感じさせる。

 その背景で河本が靴を履こうとして履けずに転んでいる。靴を履くということが、何かの変化の契機であるとするなら、うまくいかず自分を持て余してしまっているのか、変化したくないのか、その入り口で足踏みしているような情景だ。その後、スカートを脱いでペチコート姿になって、床に絵のような何ものかを描きながらフェイドアウトしていく。女子が経過する成長という美しくも曖昧な時間を描こうとして、懸命だったことがよくわかったように思う。
(舞台写真は、同専攻教員の矢内原美邦のブログから)

|

« 「南画に描かれた四時の楽しみ」 | トップページ | 匿名劇壇「悪い癖」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Malus pumila企画「confeito」:

« 「南画に描かれた四時の楽しみ」 | トップページ | 匿名劇壇「悪い癖」 »