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2015年9月10日 (木)

baghdad cafe「キンセアニェーラ」

2015年6月13日

 脚本・演出:泉寛介
 出演:近藤ヒデシ(COMPLETE爆弾)、吉田青弘、一瀬尚代、辻るりこ、松本絵理、村山裕希(dracom)、佐藤健太郎、古荘真也、泉寛介

ジャン・トゥトゥク(大阪市西成区)

Baghdad
 タイトルはスペイン語で、15歳になった女の子をお祝いするパーティのことだという。劇団が15回目の公演を迎えたことを記念してのことだそうだ。作品の中で特にそれが取り上げられたり強調されたりすることもなく、最後の乾杯の掛け声に使われた程度。自祝的なタイトルである。

 3つのコンセプトに従った実験的作品の上演、出演者との交流、そして観客の投票によって12月に上演する作品を決める、という複数の仕掛けを仕込んだ上演。こういう投票とか勝ち負けとか、「火曜日のゲキジョウ」や「CTT」もそうだが、何だか面倒くさいというか鬱陶しくて、あまり好んでは行かないのだが、今回は出演者の無理やり押しかけ交流があって、dracomの村山さんとお話しできて、よかった。

 1つ目の「案劇」というコンセプトは、「かむ」「ずれる」といったアクシデンタルな出来事を逆手にとってゲーム的に再現してみたり、「しりとり」で台詞を言いながら怪談を語ったりするという、コンセプチュアルということ自体を小馬鹿にしているような奇妙な作品たち。面白いものもあった。転換時の女優陣の不思議な振りが居心地の悪さを物語っているようで、面白かった。

 2つ目の「チル、アウトバーン」は、「サイケデリックな空間」の中で1人の男と3人の女性が、男の恋の思い出を飾り立てるように、ダンス、照明、音楽で構築していく作品で、その冒頭の一部を見せたもの。村山が醸し出すスノッブな雰囲気もなかなか味わい深く、他の構成要素との調和が面白かった。

 3つ目の「作演不在最終公演」は、作者兼演出家の女性が失踪しているという現在から、時間を遡ったり戻ってきたり、空間をあちこちに移しつつ、ドキュメンタリータッチで失踪の謎を追うという作品で、前半のダイジェストを上演したそうだ。この作品自体が、架空の作者による3つの作品のオムニバスから成っているらしい。断片が断片として切迫感があって、舞台のしつらえも面白く、複雑そうな人間関係のことは少ししかわからないし、同じことが繰り返されているようにも見え、もどかしいながらも、なかなか興味深かった。

 せっかくなので投票結果だが、3作品ほぼ同数を集めたため、劇団内で協議の結果、「作演不在最終公演」に決まったらしい。

 見終えて思ったのは、泉はいったい何をしたくなっているのかな、ということだった。あふれる才能、湯水の如く湧き出る発想を持て余しているのかもしれない。とにもかくにも、複雑そうな「作演不在最終公演」の本公演を楽しみに、泉が何を考えているのかは、しばらく保留しておくことにしようか。

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