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2015年9月10日 (木)

OSK日本歌劇団『レビュー春の踊り』

2015年6月7日

 「浪花今昔門出賑」(なにわこんじゃくかどでのにぎわい) 構成・演出・振付:山村友五郎
 「Stormy Weather」作・演出:荻田浩一
大阪松竹座(大阪・難波)

Osk
 OSK日本歌劇団が、新たに高世麻央(1996年入団)をトップに迎えたお披露目公演。これまでの桜花昇ぼる(1993年入団)をトップとしたトリプル体制から、桜花が抜けて、高世と準トップとでも呼ぶべき桐生麻耶(1997年入団)が男役の中心、娘役では朝香櫻子(1995年入団。2015年2月に特別専科へ異動)、牧名ことり(2001年入団)が充実している。また、悠浦あやと(2008年入団)、楊琳(2007年入団)といった若手の成長が著しい。このように今のOSKは、近年稀な充実期にあるといっていいだろう。

 2002年に近鉄が手を引いて後、存続の危機にさらされ、事実上自主公演に近い、つらい時期があった。多くの団員が舞台を去り、入団直後だった牧名も一度は舞台を離れている。その時期を経験したベテランがその苦労を耐え、語り継ぎながら、紆余曲折を経て、何とか京都・南座公演、東京公演を実現し、2012年には90周年を迎え ることができた。公演後のアフタートークなどで、桜花や卒業生が対談すると、経営難時代の赤裸々な苦労談をすることがあった。OSKにそれほど思い入れがあるわけではなかったはずのぼくでも目頭を熱くするような出来事があったようだ。

 日本物のショー「浪花今昔門出賑」は、山村友五郎の構成・演出・振付。山村は日本舞踊上方舞・山村流の家元で、昨年同流の大名跡・友五郎を襲名した中堅。宝塚歌劇団の元理事長・演出家の植田紳爾のご子息で、宝塚歌劇の日本物の演出・振付にも多く携わっている。殺陣やスピーディな舞で「ダンスのOSK」と定評のある身体のキレやスピードを存分に発揮したほか、天神祭の船渡御や南地の「へらへら踊り」、大阪をテーマにした歌謡曲のメドレー、など、道頓堀開削400周年を記念した演目ということもあって、大阪らしい情緒あふれる構成で、OSKらしさを見せた。

 この大阪情緒というのが、宝塚歌劇にはなく、OSKにある特徴的なものだ。そうなった経緯は、SKD(松竹歌劇団)との関係など、様々な歴史的な事情もあるのだろうが、今のところ、全国展開を妨げている一方で、大阪のファンがそう増えているわけでもないという中途半端な立ち位置にあるといわざるを得ない。

 しかし、今回の「浪花今昔門出賑」で緋波亜紀が語った安井道頓の事蹟や道頓堀の歴史は、大変面白かった。緋波の台詞回しのしみじみとした落ち着きもあって、大阪弁のお芝居というと何やらおちゃらけた喜劇ばかり思い起こされるのが、きっちりと情のある、人間としての蓄積の感じられる姿で、美しかった。

 何よりこの日本物で興味深かったのは、「南地大和屋へらへら踊り」だ。藤山寛美の芝居でも知られているようだが、昨年行われた山村友五郎の襲名披露公演でも舞台に上げたもので、明治10年に置屋として宗右衛門町で創業、一流の料亭として名を成した南地大和屋に伝わった踊りだという。牧名以下、9名の娘役が、気丈で気風のいい、予想外に激しく運動量の大きな動きが展開される。下の写真は「しゃちほこ」といわれる倒立だが、このようなことが座敷芸として披露されていたことに驚く。セクシーというよりは、少し泥臭さもあるお色気を感じさせるシーンも多いのだが、そうかと思うと、こちら側に強さがパシッと押し出される。OSKは宝塚歌劇団に比べて、娘役が重用されている印象が強いが、さすがにその娘役たちの気合、意気込みといったものを強く感じさせる、ピンと張りのある舞台だった。中心となっていた牧名ことりの11月での退団は、本当に惜しい。
Herahera
 「Stormy Weather」は、元宝塚歌劇団の演出家、荻田浩一の作ということでも話題になった。荻田らしい、ジャズの香気に満ちて、スピーディで切れ目のないテンポの速い展開で、雨、嵐をテーマにまとめた、手堅く締まった作品。若手男役の悠浦あやとが、極楽鳥で美しい姿態を見せ、専科の朝香櫻子が大人っぽい魅力を振りまくなど、色調がはっきり定まり、OSKではあまり感じることがなかったような、カラフルでスピーディな官能性が感じられ、興味深かった。
Stormyweather1

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