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2015年9月10日 (木)

松本芽紅見+高野裕子

2015年6月28日

UMLAUT(大阪市・北区)

 考えてみればどのような接点や共通点があるのかよくわからないような気もするのだが、同じ大学を出てはいるし、2人とも魅力的なダンサーであることは間違いない。といっても、現時点でいわゆるエクセレントなバレエダンサーというわけではなく、しかし一定以上のテクニックはきっちりとそなえている。関西弁(松本は兵庫県、高野は奈良県出身)でよく喋り、おちゃらけた感じのダンスもよく踊る。

 高野のコンパクトなアトリエでのダンス公演。リュックを背負って、混み合った客席をかき分けるように無理やり出てきたと思うと、「最近どうなん?」と漫才のように喋り始めて客席の笑いを誘い、燻製に凝っているだの、車窓をただ眺めるのがブームだの、他愛もない(けど結構面白い)話の後、やおら「リスボンで待ち合わせ」ということになる。

 この後の、松本の背中を段、段、と折るような動きが非常に印象的で、何を意味するというのではなく、心に残る。舞台の真ん中にカーテンのように白い布が引かれ、二人が別々の世界に位置することになったとわかる。布を境にして、はみ出ようとしたり、押すとクニャッとなるおもちゃ(「起き上がり○○」「プレスアップフィギュア」と呼ぶらしい)みたいに動いたり、ゆるやかに揺れたりといった動きの一つひとつが、とても丁寧なことが伝わってくる。日常、生命をいとおしんでいるようだ。そうして見ていると、カーテンのような布のゆれ、透けが、実にこの雰囲気に合っている。

 高野が淡々と、倒れ、起き上がりを繰り返すのが、空気が乾いていくように感じられる。薄くなるのではなくて、湿度のように心や身体に絡みつくものがなくなっていく。と思っていると、いきなりザ・ピーナッツの『悲しき16才』だったかが流れる。2人ともちょっとアンティックなワンピースを着ている。松本は真っ赤、高野は花柄。「女の子」的な格好で、まじめな顔をして歌ったり何か飲んだりしている。じめじめしない。

Photo_4

 カーテンを開いて「おったー!」と叫ぶ。偶然リスボンのホテルで隣の部屋になっていた、という設定らしい。市内を2人で観光し、他愛もない話をしながら、ポカンとして終わる。
 身体の動きを、シンプルな物語と乾いた「女の子らしさ」でくるみ、チョコレートかキャラメルでコーティングされたアーモンドのような、カリッと気持ちのいい時間だった。彼女たちの人柄もダイレクトに伝わってくるし、こんなコーティングによって、ダンスへの門を開きやすいものにしようとしていることが、うれしい。

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